共同研究開発成果例

未知だからこそ、不安になる。
解決する場と支援する場を設けています。

医療機器の事業化には医薬品医療機器法の規制を受けます。基礎研究が終了しても、人を対象にその有効性や安全性を検討する臨床研究が行われる場合もあります。さらに、販売戦略が医療保険償還制度に依存するため、保険適用に向けた取り組みが必要となることも、一般的な工業製品と異なるところです。共学講座での活動を通じて、これらの一連のステージでの活動を実践的に学ぶことができます。

共学講座では、医療機器の開発、製品化、事業化の各ステージそれぞれの専門家にご相談ができるので、医療機器の製品化事業化を確実に前に進めることができます。そのような中から生まれてきた製品をご紹介いたします。

ぼんだがぁ
ぼんだがぁ
開発の背景と課題
2020年10月から2021年3月にかけて、鳥取大学医学部附属病院 栄養部 管理栄養士長の牧山嘉見氏らは、新型コロナウィルス感染症の流行下における給食業務の負担という社会課題の解決に挑みました。
当時、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、医療機関では使い捨ての食器類が望まれていました。しかし、日常的に使用できる実用レベルの「使い捨て配膳トレー」は市販されておらず、給食業務のさらなる負担増を招いていました。
医療スタッフは膨大な感染防止対策に追われながら、洗浄作業や入念な消毒を行わねばならず、業務負担は深刻な状況に陥っていたのです。
誕生秘話
「ぼんだがぁ」は、使い捨て紙製配膳トレーとして企画された製品です。開発の中心にいた牧山氏は栄養管理のプロとして、患者・スタッフ双方に配慮した衛生面と実用性を追求しました。何度も試作と改良を重ねるうちに、病院給食の現場で必要とされる「軽量かつ耐久性がある」「安定して食器をのせられる」「衛生リスクを低減できる」という条件をクリア。
しかし、当初、紙製トレーの厚みや強度を確保するのは容易ではありませんでした。使用後にそのまま廃棄できる簡便さは求められつつも、盛り付けをした食器をしっかりと支え、運ぶ際に歪まない耐久性も不可欠です。そこで、有限会社サンパックがもつ製紙加工のノウハウを活かし、トレーの強度や防水性を高めるための紙質やコーティング技術の検証を繰り返し行いました。
また、病院現場の実証実験では、調理場・配膳・患者の手元へ届くまでの一連の流れを想定し、スタッフの声を丁寧に拾い上げて改善につなげました。こうした地道な取り組みの結果、生まれたのが「ぼんだがぁ」です。